恋するレンズのむこう
「…ごめん」


体が離れたかと思うと陸は慌ててそう言った。


謝られた。


それだけなのになんでこんなに胸が痛むの?


不思議で不思議で…仕方がない。


さっきからあたしは戸惑ってばかりだった。


『陸…』


気が付けば陸はあたしに背を向けていた。


『り…』


あたしは陸の肩に手を伸ばした。


「触るなよ」


え?


冷たく放たれた言葉にあたしは伸ばした手を引っ込めた。


陸はまだあたしに背を向けたままだ。



あたしと陸の間に静かな空気が流れていた。



< 102 / 196 >

この作品をシェア

pagetop