恋するレンズのむこう

「お前が好きなのは俺じゃない、梓だろ?」


背を向けていた彼の顔が振り返った。


そして引きつったように笑う。


「今まで騙して…悪かったな」


ズキッ


なんで…?

音を立てて何かが壊れた気がした。


陸の瞳にあたしはどう見えているの?


あたしは陸と梓を見分けられなかった


1年間会いたかった、なんて言いながら


陸に梓と言われたからって


目の前にいる梓じゃない人を梓と呼んで愛した…


好き、と伝えた


キスもした



馬鹿な女としか見えていないだろう


< 103 / 196 >

この作品をシェア

pagetop