恋するレンズのむこう
「お前が好きなのは俺じゃない、梓だろ?」
背を向けていた彼の顔が振り返った。
そして引きつったように笑う。
「今まで騙して…悪かったな」
ズキッ
なんで…?
音を立てて何かが壊れた気がした。
陸の瞳にあたしはどう見えているの?
あたしは陸と梓を見分けられなかった
1年間会いたかった、なんて言いながら
陸に梓と言われたからって
目の前にいる梓じゃない人を梓と呼んで愛した…
好き、と伝えた
キスもした
馬鹿な女としか見えていないだろう