恋するレンズのむこう
恥ずかしがるあたしを見て梓はけらけら笑う。


「そんな赤くならなくても良いのに」


ドキドキ


あたしの胸はなぜか締め付けられるみたいだった。


何か…毒を飲み込んだみたいに


苦しい…



…なんで?


キスって言ってもほっぺただよ?


しかも相手は…梓なのに

今まで会いたくて大好きだった梓なのに…


なんで胸が痛いの?


「有香…」


あたしの名前を呼んで梓が愛しそうにあたしを見る。


そしてまた抱き締められる。


「大好きだ…」


呟くように
吐息に混じったように聞こえた声。

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