恋するレンズのむこう

梓に抱き締められてあたしの熱は一瞬に顔に集まる。


「あたしも、好き…」


そうだよ、
あたしも梓の事大好きなんだ


嫌がる理由なんて…一つもない


そっと自分の腕を梓の背中に回そうとした。


でもその時、背中に視線を感じたんだ


その視線であたしの腕は止まってしまう


なんとなく分かったんだ

今、陸があたしを見てる


しばらくして足音が聞こえた


コツコツ…


だんだん遠ざかるその足音


足音が聞こえなくなるのがなんだか嫌だった


コツ…


「!!」


あたしは梓の体を押して病室を後にした。
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