恋するレンズのむこう
走って…

じゃなくてピョンピョン跳ねていたんだけど


廊下を出ると梓の背中が角を曲がった。


『…陸っ』


あたしは走った


跳ねたんじゃなくて…
走った。


痛みなんてどうでも良かった。


ただ、陸の背中を追いかけた。


そして、手を伸ばす。


『陸!!!』


「…!?」


陸の服を引っ張った。


陸が驚いた顔であたしを見た。


「有香?」


陸と離れたくなかった。

陸が離れて行くのが怖かった。



梓の側にいたかった。

< 109 / 196 >

この作品をシェア

pagetop