恋するレンズのむこう
あたしは泣き顔を見られたくないからそのまま走った。


…まあ今度はピョコピョコ跳ねて、だけど。


陸は追いかけてはくれなかった。


そして自分が期待してくれていた事に気付いた。

あたし…期待してたんだ。


陸が…

追いかけてきてくれるって。


馬鹿みたいに期待して


期待が外れたら落ち込んで…



陸はあたしの事…どう思ってるのかな



『梓に…やっぱ帰るって伝えて?』


「…ん?あぁ分かった」

必死に涙を我慢してたのに今度は声が震えてた。

陸にこの想いがバレちゃいけない。

そのままあたしは病院を後にした。
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