恋するレンズのむこう
泣き顔
***
「陸くん、もう少し目線上げてみて!」
男の声と共にフラッシュが光る。
「・・はい、お疲れさま~」
1人の人の声で周りにいたスタッフたちが一斉に動き出す。
その中から1人の男が俺に近づいてきた。
「陸、今日調子悪い?」
コイツは俺のマネージャーの安田。
年が近いから結構仲が良い。
黒ぶち眼鏡のレンズから覗く目が俺を見ている。
『まあ、ちょっと・・・』
「今日はもう仕事ないし、今日はゆっくり休みなよ?」
『ああ、分かった』
そう言ってスタジオを後にする。
静かな廊下を歩くと、昨日の出来事を思い出す。