恋するレンズのむこう
好きな奴が俺に会いにきた

それが俺を梓と間違えてきたんだとしても


やっぱり嬉しくて、抱きしめたい。


それを我慢しなければいけない。


俺は神を恨んだ。



――――

『・・・コーラ買お』


5時過ぎ。家にずっといても頭の中は有香でいっぱいで、なんだかグチャグチャで。


俺は近所のコンビニへ灰色のパーカーを羽織って向かっていたときだった。


「・・!やっ、やめてっ・・・!!!」


暗い道に響く悲鳴にも聞こえるその声はきいたことある声。


俺は無意識のうちにその声の方向へ足を走らせた。


暗い道の中に蛍光灯で照らされたそこには女子高生と怪しげな雰囲気をもつ男らしい人がいた。


どうやら女子高生の方は嫌がっているようだった。

嫌な予感がした。

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