恋するレンズのむこう
「嫌っ!やめてっ」


さっきと同じ声が助けを求めていた。


暴れるその女子高生の顔がちらりと見えて俺は息をのんだ。


・・・有香!!


「嫌だっ・・・」


すでに泣き声にもなっている有香の声に俺は思わずその2人に向かって走っていた。



「梓・・・!!!」



もはや声にならない悲鳴で呼ばれた名前は確かに俺ではなかった。


それでも目の前に好きな女が襲われかけているのを放ってはおけない。


俺は有香の腕をつかむ手を引っ張り、そいつの胸倉を持ち上げた。


男は驚いたような顔を俺に見せ、俺はその憎い顔を思いっきりぶん殴ってやった。



「・・あ、・・ず・・・・さ?」


怯えているのだろう、震える声で俺に向けてアイツの名前を呼ばれ、胸が締め付けられた。
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