恋するレンズのむこう
有香も疑う事なく俺の言葉に応えてくれて、ホッと安心すると共に嬉しくなった。


夢がかなったんだと実感できて俺はぎゅっと自分の拳を握り締めた。


・・・ただ、やっぱり有香は俺を梓とまだ間違えている。


たまに梓との思い出を俺に愛しそうに話してくる。


その幸せそうな笑顔があまりにも可愛くて、欲しくて。


そんな笑顔を向けられている梓がとても憎かった。


有香が迷子になったとき。
俺は有香を探した、必死で。


有香を見つけるとその腕を掴んだ。


「…あ…ずさ!」


驚いたように見開いた目には涙がたまっていて。


そして、


抱きついてきた。


よっぽど怖かったんだろう。



< 124 / 196 >

この作品をシェア

pagetop