恋するレンズのむこう
だんだん梓への想いが確かなものへなっていっている気がする。




…でもあたしは気付いていた。


でも気付かないフリをした。


気付いちゃいけない事だと思ったから。


あたしは必死に消そうとした。


梓への想いと共に強くなっていくこの胸を締め付けるような痛みに。


気付いたら後悔する。


梓との関係。

陸との関係。


全部…、全部崩れて消えてしまうのが怖かったから。



病室のドアの前であたしは一度足を止めて深く深呼吸をした。


『梓っ!』


そして何もなかったかのように元気に梓の元へ行く。


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