恋するレンズのむこう
普段、あたしがお見舞いに来ても寝ている事が多い梓。


でも今日は梓は起きていて、とびっきりの笑顔をあたしに向けてくれた。

その笑顔を見て。


あたしの気持ちのモヤモヤはますます膨らむ。


あたしは、最低、最悪な女。


梓を、

陸を好きになる資格なんかないんだ。


これ以上、この梓の笑顔を傷つけてはいけない。

「有香、今日は2つに結わいてるんだね」


愛しそうにあたしを見上げる梓にあたしも優しく微笑む。


『うん!どう?似合う?』

絶対に気付かれちゃいけない。




あたしの心の迷いに。




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