恋するレンズのむこう
陸はどこか傷ついた顔であたし達を見ていた。


その顔を見ていると、胸が締め付けられた。


どこからか罪悪感に襲われ、サッと目線を陸の持ってるりんごに向けた。


「有香・・・どうした?」


後ろから梓の優しい声。


そうだ、なんであたしこんなに変に緊張してるんだろ?


なんでこんな胸がなってるんだろう?


あたしは無理やり口端を上げて、梓ににこっと笑って見せた。


梓まで、傷ついた顔をした。


・・・とても居心地の悪い空気に包まれる。


『え、えーとっ、・・・じゃ、あたしはコレで』


梓に背中を向けて、そのまま歩き出そうとした時。


「待てよ、なんで帰んだよ?」


あたしの腕を掴まれる。


陸に。



< 157 / 196 >

この作品をシェア

pagetop