恋するレンズのむこう
陸につかまれた腕からそのまま顔に熱が集まってくる。


『・・・』


「俺はただ、コレを渡しにきただけ。別に、いたきゃいればいいじゃん」


しばらくあって話すことはなかった陸がまたあたしの目の前で喋ってる。


不思議と、胸が熱くなる。


『・・・うん』


でも、今ここには梓がいる。あたしの愛する梓が。


陸への想いがバレたら・・・


・・・・想い?


陸への想い?


自分で言ったことなのに自分で混乱。


でも、実は前から少しずつ気づいていた。


あたしは梓にだけではなく陸にまで特別な感情を抱いているんだ。


そして、いつしか陸への想いが梓への想い以上に膨らむ。


あたしはそれを恐れてる。
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