恋するレンズのむこう
あたしはなんて最低な女なんだろう


陸を好きになって

梓を傷つけている


『ごめんっ…』


考えるより先に口がそう言って足は陸の元へ向かった。


「有香」


背中に梓の声が聞こえた。

でも止まらなかった。


病室を出て、陸の背中を見つけると自然と足のスピードが上がる。


そしてそのまま目の前の大きな背中に飛び付いた。


「有香!?」


陸が目を見開いたまま振り返る。


陸の顔が思ったより近くで鼓動が高鳴る。


そして口を開けた


『陸…』


しかし、それから何を言えばいいか分からない。
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