恋するレンズのむこう
『陸』


あたしが呼ぶ。


「何?」


『あたし…ね、陸が…』

「有香」


あたしを呼ぶ声に心臓がびくんと跳ね上がる。


たぶん陸も同じ。


だってこの声は


梓の声だから。


あたしはゆっくり振り返った。


「2人とも何してるの?」


梓は今まで見た事ないくらい怖い顔をしていた。

怒りのこもった綺麗な瞳に見つめられ、目を逸らすあたし。


なんだか…怖かった。


「梓こそ、何してんだよ」


あたしの気持ちとは反対に陸は冷静な声だった。

「先にこっちの質問に答えろよ!!!」


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