恋するレンズのむこう
チョコレート
***
梓の強い視線に陸も視線をぶつけた
「片山さん!ここは病院ですよ!?早く病室に戻ってください」
騒ぎで駆け付けた看護婦さんの声と足音がした
その声で張り詰めていた空気が少し和らぎ陸も梓も目を逸らした。
現場に着いた看護婦さんにあたしは謝って、梓を病室へ連れて行った。
陸の様子を見ると、陸は壁に寄り掛かったまま何か一点を見つめているようだった。
あたしはまた前を向き直し梓の背中を優しく押した。
その時。
「!…っ」
『梓!?』
梓が苦しそうにその場に膝をつけた