恋するレンズのむこう
あたしを見るその顔はとても寂しそうに、悲しそうに、今にも泣きそうな顔。



なんでだろう。


見るからに、悲しい顔なはずなのに。


そんな顔の陸が綺麗と思ってしまった。


そんな顔されては、あたしの心はかき乱される。


『りく・・』


「こうゆうの、やめて?」


どこか鋭く響く声で、あたしと陸の間にはピシャリと厚い壁が立ちはだかった気がした。


「お前といると、苦しくなる・・・」


陸・・・?


これが陸の本音だったの?


手を振り払われたまま固まってしまったあたし。


そんなあたしにちらり、と目は向けたもののそのまま陸はあたしに背を向けて去っていった。


あたしは・・・何も言えなかった。





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