恋するレンズのむこう
良かった、起きてなかったみたい。


目の前ですやすやと気持ちよさそうに眠る梓を見てホッとした。


それにしても梓の夢にあたしが出てきてるって事は梓の中でそれだけあたしは大きな存在だったりするのかな。

自惚れかもしれないけど。


・・・でも、あたし・・・


あたしは陸が好きなんだ。

だから、梓にもし愛されていたとするならあたしは梓を傷つけるかもしれないんだ。


「・・・ん・・」


梓の声に驚く。
梓は起きていなかったみたいだけど、あたしはなんだか自分が悪い事をしてる気でならなかった。


・・・ていうか、悪い事・・・してるのかも。


梓を傷つけるかもしれないような気持ちを抱いてるんだもん。






“陸への気持ち”を――。




無意識に足をくるりと方向を変えてそのまま病室から出た。


自分が梓の傍にいる事が良くない事だと思えたから。



逃げたんだ。


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