恋するレンズのむこう
・・・!!

梓!?


そこにはまぎれもない、梓がいた。


あたしは嬉しさでこみ上げて、涙が溢れ出そうになった。


『あっ、あのっ・・・』


感激しすぎてどう話しかけたらいいか分からないよ~


梓はあたしの顔を見る。
そして露骨に嫌な顔を見せた。


「アンタ、迷惑」


ドクンっ・・・


今、なんて?

梓はあの日よりも伸びた身長で、上から見下ろすようにあたしを見た。
でも、その瞳のどこにもあの日の優しさなんてなかった。


“アンタ”―・・・?


悲しかった。

冷たくされたことよりも、あたしの名前を呼んでくれなかったことが。



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