恋するレンズのむこう
「有香」


あんなに優しく甘く呼んでくれたのに・・・


「・・・愛してる」


甘い言葉を言ってくれたじゃない!!


ショックで体が少しも動かないあたしを一度も見ずに、横をすり抜けるように歩いていった梓。


ちらりと見た横顔。


・・・あれ?


あたしは一瞬、その横顔に“梓”の存在を感じ取る事ができなかった。


振り返って、大きな声で愛しい名前を呼んだ。


『梓っ・・・!!』


「・・・!?」


梓は驚いたようにあたしを見る。



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