恋するレンズのむこう
『・・!やっ、やめてっ・・・!!!』


怖い。


さっきまでの嫌な気配も今では確かなものとなった。


ぐいっ


強い力で引っ張られたあたし。



道の蛍光灯で照らされたとき、彼は大きな背中でちらりと見えた口元が冷やかに笑った。


『嫌っ!やめてっ』


あたしの叫びはもはや、声にはなってなかった。


『嫌だっ・・・』


嫌だ、誰か助けて!!
誰か・・・

誰か・・・




『梓・・・!!!』

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