恋するレンズのむこう
でもすぐにその不安は溶けていった。


まだ、そこには梓の笑顔があったから。


背中なんて向けずにずっとあたしの方を向いていて優しい笑みを見せてくれる。


それが、どれほど嬉しかっただろう。


今すぐにも抱きつきたいけどあたしは家に帰る人たちの中に埋もれてそのまま電車に乗った。



電車に乗ってさっきの凛のメールにも返信した。
・・・あ。


携帯のメールアドレス、聞けばよかったな。


あたしの前からいなくなったあの日の夜。

梓にメールをしたけど返信は帰ってこなかった。


その代わり、梓のアドレスは変わったというメッセージが届いた。


でも、今度聞けばいいかな。


だって梓はあの日と変わらなかったんだもん。


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