恋するレンズのむこう
そんな、恥ずかしい事をさらりと言えちゃうなんて!

しかもこの公共の場で!!


テレてしまって目線を下に落とす。


『・・・』


「・・・」


しばらく電車の揺れる落とした聞こえなかった。


「あ・・・のさ、お願いがあるんだ」


『ん?』


「あんまり他人の前で“梓”って呼ばないで?」


ドキン。


別に、嫌な事ではないのになんだか傷ついてしまった自分がいた。


「“片山陸”って事で」


『あ・・・うん、分かった』


梓は少しはにかんであたしを見た。

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