恋するレンズのむこう
「ごめん、ごめん。でも可愛いからいいじゃない」


・・・!!

この人は、案外軽い人なのか!


本気でそう思った。


チャラくて、女好きの最低男かと思った。


でも、彼の笑顔を見た瞬間そんな気持ちはなくなった。


窓から吹き込んでくる風に持ってかれたみたいに。


メガネ越しに除く彼の吸い込まれそうな黒い瞳。


太陽みたいに暖かくて


海みたいに広い


やさしい笑顔にあの日、あたしは恋をした。



その日から、あたしと彼は図書室で会うたびよく話すような仲になった。


でも図書室以外では会っても話さなかった。


話すどころか目もあわせない。
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