恋するレンズのむこう
嘘みたい。


あんなに悲しかった海での思い出が


今では幸せに感じるんだ。


この幸せを大事にしたい。


ずっと、梓の側にいたい。


梓を愛していたい―…。


「有香」


『うわっ!』


いきなり耳元で自分の名前を呼ばれて心臓が口から飛び出てきそうなくらい驚いた。


「なあ、これからちょっと2人でどっか行かね?」

『へ?』


突然の誘いで頭が真っ白。


その後じわじわと染みるように喜びを感じた。


『どこ行くの?』


「内緒」


人差し指を口の前でたてて、悪戯っぽく笑ってみせる梓。
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