恋するレンズのむこう
「ごめん」


そう言って優しくあたしを抱き締める梓。


そんな…


優しく抱き締めるなんて

ずるい…


ずるいよ、梓…


そんな風にするから我慢してた涙がどんどん出ていくじゃん。


『あたし…辛かったよ…?』


急にいなくなるんだもん

『不安になったし寂しかった』


なんで…


『なんで別れようなんて言ったの?』


なんで…


『なんであたしの目の前からいなくなったの?』

あたしは梓の胸を叩いた。




悲しかったんだから…


< 70 / 196 >

この作品をシェア

pagetop