恋するレンズのむこう
ふたり
***
『梓…?』
何言っているの?
『こんな時にふざけないで!!』
「ふざけないよ」
…何?
梓は真剣な顔をしていた。
目は真直ぐ…あたしを見ている。
「…!」
梓がハッとした顔をする。
あたしは頬に涙を流していた。
「ごめん、冗談いきすぎた…」
…冗談?
そう、冗談。
…でもさっきの梓の真剣な顔が頭の中から消えない。
冗談、のはず。
でもさっきの梓の顔のどこに冗談と書いてあった?
その時あたしの胸の中に一つの疑いが浮かび上がる。