恋するレンズのむこう
「有香…手え出して?」

『…?』


あたしは言われた通りに手を差し出した。


「目ぇ閉じて?」


言われた通りに目を閉じる。


優しく梓の唇があたしに触れる。


唇が離れた時、あたしの右手に違和感があったので見てみた。


手には水色の袋。


『あけていい?』


梓が微笑み、頷く。


『え…』


袋から出て来た物は…


水色の

イルカの

ストラップ。


どこにでもあるようなストラップ。


でもあたしはそのイルカに微かに運命を感じた。

運命なんて言うと大袈裟かもしれない


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