恋するレンズのむこう
「なんか飲み物買ってくるわ」


怠そうなその声。

間違えるはずない、愛しいあの人の声。


あたしは宝物を見つけたように嬉しくなり、足の痛みを忘れて歩き出した。


…やっぱり、痛い。


走りたい気持ちを抑えて、ピョンピョン跳ねて声の方へ行く。


でもあたしがやっと梓らしき人の背中をみた時にはその背中は角を曲がってしまった。


ちょっぴり残念に思いながらもあたしは跳ねながら追いかけた。



…ふと、近くにあったドアの横の文字に目をやる。





…「片山 梓」



そこにはそうかいてあった

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