恋するレンズのむこう
『え、…梓?』


そこにはもう1人の“梓”。


あたしは体の方向を変えて、ベッドの上で眠る梓と立ってあたしを見てる梓を交互に見た。


やっぱり2人とも、“梓”


『…え…っと、…?』


あたしの頭が急速に回り始める。


回りすぎて故障しちゃうんじゃないかって時。


立っている梓が口を開けた。


「…ちょっといい?」


親指をくいっと立てて、自分の後ろを差す。


「外行こう」というサイン。


そしてくるり、と方向を変えて歩き出す。


『…』


あたしは、一度また後ろを振り返り確かめた。

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