Alice in world of darkness
「はい、どうぞ♪」
「ありがとう、ございます…」
白の中心に、黒い兎のワンポイントがあるカップにホットココアを淹れてくれたこの家の主であろうウサ耳の彼。
その彼は、あたしに出してくれたものと色が逆になってるカップでココアを飲んでいる。
コトン、と小さな音と共に彼のカップがテーブルに戻された。
そして彼は優しい笑顔で話始めた。
「僕の名前は白兎(ハクト)。白い兎って書いて白兎って言います」
「あたしはアリス…です。」
「あ、それから…」
白兎さんが思い出したように何かを言おうとしたとき、リビングのドアが開いた。
「はくぅ…おはよぉ…」
ふぁ~ぁ…と、欠伸をしながら来たのは白兎さんと違う、黒のウサ耳の人。
白兎さんと顔が似てる…ってことは白兎さんの身内?
「お察しの通り、あれは僕の弟の黒兎(コクト)だよ」
黒兎と呼ばれた彼はフラフラとこちらに歩いてきて、白兎さんに抱き着いた。
そして衝撃の一言。
「ちゅー…v」
白兎さんにキスを催促させて、あたしの目の前でまさかの近親相姦の現場。
おもわずあたしは足を一歩引いてしまった。
それに気付いた白兎さんが悲しそうな表情をして笑った。
「あー…ごめんね?」
「あ、いえ…」
こちらこそごめんなさいって謝った。
そしたら白兎さんは一瞬驚いた顔をして優しく笑った。
「いいよ、慣れてるから」