Alice in world of darkness
白兎さんはすっかり冷めたココアを口にした後、小さい声で話し出した。
「…僕らは産まる前から一緒で、産まれた後もずーっと一緒で…離れることを知らなかったから、いつま周りには何か言われてたんだ」
「…あ…」
「これがまた結構苦しくてさ…」
「だから俺たちを否定しない世界に行きたくて俺たちは2人で逃げたんだ」
さっきまで寝惚けていた黒兎さんが白兎さんに抱きつきながらも、目線だけあたしに向けてはっきりと言った。
“逃げた”
それってつまり…
「自殺…って、こと?」
「そんな感じだね」
「目が覚めたらココに居たんだ。ウサ耳が生えた男になって」
「目が覚めたときの黒兎ったら、かわいかったなぁ」
「かわいくなんかないっ!!!」
さっきまで重い雰囲気だったのに、白兎さんの言葉をキッカケに一気にふんわりした柔らかい雰囲気になった。
クスクス笑う白兎さんに、顔を真っ赤にする黒兎さん。
……そういえば…
あたしは右手を上げて質問した。
「男になってたってことは、あなた達昔は…」
「女の子だよ」
「…可愛かっただろうな…」
白兎さんを見ながら率直な意見を言うと、黒兎さんが険しい顔をして近づいてきた。
「白兎はお前なんか相手にしないからな」
「…ぷっ///」
「な、なんだよ!笑うな!」
あたしのそんな言葉にさえ嫉妬してる彼がとても可愛かった。