Alice in world of darkness
「白兎さん、」
「ん?」
「あたし、別に白兎さんたちを気持ち悪いなんて思わないです。ただ生ちゅーを見てビックリしただけなんです」
そう言って笑顔を見せると、あたしは白兎さんに抱き着かれた。
「え…!?」
「は、はくぅ!!?」
黒兎さんが何やらすごいショックを受けてるのがわかった。
でも、あたしも白兎さんに抱き着かれて驚いてるんだ!!
「ありがとう、アリス…」
「え、あの、白兎さ」
「白兎でいい」
「…は、白兎…?」
名前呼びってこんなに照れるものだったっけ?
「僕、アリスのこと好きだよ」
「えぇ…!?」
「白兎!?何言ってんだよ!!」
あたしよりも黒兎さんが驚いてる。
…っていうか、すごい必死な顔してる。
「そんな風に言ってくれたのは、君が初めてだよ」
白兎の目には涙がうっすらと見えた。
それを見た黒兎さんが後ろから抱き着いてきた。
「こ、黒兎さん!?」
「俺も呼び捨てでいい」
「ありがとう、アリス」
「困ったときは助けてやるよ」
そう言って2人はあたしから離れた。
白兎はすごく穏やかに笑っていて、黒兎は照れていて、あたしは…きっと顔が真っ赤だと思う。
とりあえずあたしは、
白兎と黒兎の話を聞いて
ここが『死後の世界』だと確信した。
でも一体どうすればいいの?
「そうだ…」
「ん?」
「2人がこの世界に来たとき、2人はどうしたの?」
この問いの答えが、次にあたしがすること。
…だと思う…。
「えーと…」
「ネコに会ったよ」
黒兎がつまらなそうに言った。
「ねこ?」
「あぁ、そういえばそうだね。クロたん偉いねぇ♪」
黒兎は白兎に頭を撫でられてすごく嬉しそうにしていた。
この2人…本当にラブラブなんだな…
「とりあえず、この世界に来たばっかなんだったら猫ちゃんに会わないとね」
「へぇ…」
「…案内してやるよ」
そう言って、黒兎はさっさと歩いて行った。
「さぁ行こうか、アリス」
あたしは白兎の差し伸べられた手を握って歩き出した。