六畳一間の魔法使い
日に一回、彼は同じ主旨の独り言を呟く。

インターネットの小説サイト。

彼はそこにネット小説を掲載している。

もう一年になるだろうか。

子供の頃から文章を書くのは得意だったらしく、中学生の時、初めて小説らしい小説を書き、友達に読ませたのだという。

それがとても評判がよかった。

それで将来は作家になろうと短絡的に決めたのだという。

『こんな才能は、作家になる為に与えられたに違いない!』

本気でそう思い続けて15年。

彼の自信は煙のように消え去っていた。

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