メイド in LOVE


それから私は
演舞団で働き出した。


昼間は
掃除や洗濯などの
雑用をして過ごし


夜間は
団長から踊りの指導を受ける


相変わらず
借金取りには追われていて
父は帰ってこなくて

辛いこともたくさんあったけど


嬉しいこともたくさんあった

小さい頃に一緒に踊っていた
エマと出会えたり

母と一緒に踊っていた人から
母の話を聞けたり


演舞団の人たちは
みんな優しかったから
私は毎日を笑顔で過ごせた。


――――――――


〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪

曲が鳴り響くと

身体が自然にリズムを取る


「始めるぞ!」


「飛んで!」


「そこ足が違う!」


「2回転!」


「回転が足りない!」


「そこで振り向く!」


「笑顔を作って!」


「手の角度が違う!」


「腰を落として!」


「膝を伸ばす!」


「頭を揺らさない!」


「苦しそうな顔をするな!」


「集中しろ!」


「顎を引く!」


「今の所、もう一度最初から!」



団長の指導はとても上手で
毎日へとへとになるくらい
厳しい指導だけど
踊りを初めて6ヶ月で
数曲を踊れるようになった。


けど、それは
小さい子供が踊るような曲。


もっと踊りたい。


もっと上手くなりたい。



私はいつの間にか
踊りの楽しさにのめり込み
舞台に立つことが
目標になっていた。



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