メイド in LOVE


「レオン様がリザの
借金の肩代わりをし、
代わりにこの家で
メイドとして
働かせるまでは理解できます。

ですが、何故
あそこまでリザを
親切にするんですか?
私はソコは理解できません!」


「親切、だったか?」


「えぇ、女嫌いなレオン様が
車から降りる時に
手を貸したり
ご自身で屋敷内を案内したり
夕食を一緒にとったり…

まるで客人のような扱いです」


「そうか?」



とぼけたように
返事をした俺に
カイルの表情が
さらに険しくなった。



「今まで、雇ってきた
メイドたちに
このような事は一度も
なさっていません。

レオン様は
リザだけを"特別"に
扱っていませんか?」


「…そうだな
確かに他のメイドには
あのような対応は
したことがない。
これは"特別"かもしれない」


「でしたら…!」


「…だが、それは
リザの境遇が"特別"だからだ

今まで、借金の肩代わりをして
メイドにした者がいたか?
今まで、あのような
過酷な人生を18までに
送ってきた者がいたか?

リザには帰る家が無いんだ。
他のメイドとは"違う"だろう?」


「そう…ですが…」


違う。

確かに違う。

リザはどこか他の者と"違う"
何かを持っている。





「この国では18歳からは
"大人"として
扱われるかもしれない。

だが、俺はこれからも
リザを"特別"に扱うだろう。
他のメイドとは"違う"扱いを
するだろう。」


その頑なな瞳に
私は言葉が返せなかった。




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