メイド in LOVE
メイドとしての仕事は
案外、楽なものだった。
踊り子時代に
稽古以外の時間は
様々な雑用的な仕事を
こなしていたせいか
掃除や洗濯や給仕などは
私にとって簡単な仕事で
どんな雑用事でも
役立つ時があるんだ
と、自分で驚いていた。
もちろん
レオンのお屋敷では
作業に使う道具も
最新式なので
作業はさらに早くなった。
同じ仕事仲間とも
打ち解け、仲良くなり
メイドとしての仕事は
楽しくなった。……が
他の人よりも
仕事が早いので
休憩時間が多くなって
時間を持て余してしまい
一人、困っていた。
そんな時…
レオンの執事であり秘書の
カイルさんから
声をかけられた。
「…リザ・ティナ!」
「はい!……あ、カイルさん」
「私の名前を知っているのか?」
「えぇ、メイド仲間の話題によく出ますし、何より使用人長ですから…」
レオンは"主人"だが
カイルさんは"上司"だ。
名前は覚えておかなければ。
「そうか。ところで、君は今は何をしていたんだい?」
「あ、えっと…手持ちの仕事が
終わってしまったので
休憩時間をもらっていました。」
「つまり、暇なんだな?」
「?…はい。」
「ならば、一緒に来てくれないか。
"君に"頼みたい仕事がある。」