With Love
ここは名古屋港水族館。
和歌山県太地町にある、くじら博物館から譲り受けた鯱が大人気。
「おまえらは、良く来るんやろ?」
「ナミが赤ちゃんを産んでからは初めてだよな、柚依?」
魁翔が水族館デビューをしたのは2才のとき。
当時は『クー』と言う雌の鯱がここの人気ものだったんだけど、契約満了の年、更新の手続きをする直前に病死してしまった。
鯱のいない水族館は、来場客が激変して大変だったみたい。
でも、『ナミ』が来て離れていたリピーターのお客さんが戻り、現在も大盛況。
あたしが小学校の低学年まではよく、魁翔ママが一緒に連れて来てくれていたけれど、魁翔が部活を始めて忙しくなった頃から遠ざかってしまっていた。