Factory
「俺の身体にウイルスを注入してどうする」
「単ナル暇ツブシダヨ」
やつが天使か悪魔か分からなくなる。
俺は言葉を失った。
「デモ、モット面白イ事ヲシヨウ」
「どんなことだ?」
「ウイルスヲ消滅サセルワクチントナル改造人間モツクッテオク。ソイツヲ見ツケタラ、オマエニ天国ヘイク地図ヲ与エヨウ」
ワクチンとなる人間を見つければ俺は天国へ行けるのか。
「見つけたらどうすればいい?」
「使イヲ送ッテオクカラ、ソイツニ知ラセロ。コノ世界ノコトハヲ誰カニ話シタラオマエハ消エル」
「分かった」
「幸運ヲ願ウ」
そう言うとプシューと音をたてて呼吸するやつは、この殺風景な部屋を出て行った。
やつが出て行って俺は激しい痛みと強烈な睡魔に襲われてまぶたを閉じた。