危なくて…でも甘い放課後
さすが三越というべきか、和服の振袖だけでも数えきれないほどある




店員に




『友人の結婚式に着ていくのに適するのを選んでください』




とだけ言い残して外で待ってることにした




立っているのも疲れたので近くにあるベンチに腰かけた




『お客様…お客様』




肩を軽く叩く店員




『お客様、お休みの所を申し訳ございませんがご試着の方を終えられました』




口内に溜っていた唾を飲み込み瑞希の方に向かう




紺を基調として下の方に行くにつれて白っぽくグラデーションになっている




ディナードレスの時より可愛いし…




『何見てんの?』




恐らく口をポカンと開けていた俺を馬鹿にしたのだろう




『ちょっと後ろ向いて両手を横にして』




何言ってんだこいつ、という顔をしながら後ろを向いて腕を上げた




『振り袖も捨てたもんじゃないな…』
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