危なくて…でも甘い放課後
救急隊員が無線で応援を呼び俺も事故現場に近づいた




すでに渡邉警部がおり、そこは凄惨な現場になっていた




犯人は即死、武田警視正も虫の息だった




犯人の死を確認すると、武田警視を担架に乗せ救急車に運び込み病院に向かった




幸い総合病院も近くにあったから大丈夫だろうと俺は腹をくくったが




中央分離帯の近くに残された瑞希を思い出し、駆け寄った




俺のコートに包まれていたので体には傷は入らなかったが、端正な顔に擦り傷ができた




『大丈夫…か?』




瑞希は何か言葉を発したが俺はそれを聞き取れなかった




『……み…み…ず』




『水?』




瑞希は最後の力を振り絞って頭をわずかに動かした




そうとなれば買いに行くしかない




ここに来る途中コンビニを見かけたのでそこで水を買ってくることにした




コートから俺の財布を抜き取り猛ダッシュで青梅線沿いのコンビニに駆け込んだ




『釣りは要らない』




五千円札を置いて、千円札にすべきだったと後悔しながら俺は店から出た
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