危なくて…でも甘い放課後
『妊娠の恐怖もありましたけど、福沢諭吉が増えていくとそういう理性もマヒしていくものです』




『それで、警察にでも捕まったの?』




『いや、自分から辞めました』




『辞めた?』




『私はしてなかったんですけど、同じ援助交際仲間が常連を作るとか言って、顧客とアドレス交換していたみたいなんです。ところが、そのあとストーカーですよ。しまいにはカツアゲまでされてましたし』




『それはそれは』




『さすがにいたたまれなくなって、私も辞めたんです』




『なるほど』




『確か、高校2年生の時に規制法ができて難しくなりましたし。でも麻薬みたいに中毒性はないんで結構あっさりとやめられましたよ』




『へぇ』




さっきからテキトーな相槌しか打っていない俺




『結局高校2年生の夏で辞めました。自分の部屋の封筒には5,60万は入っていました』




『結構やったんだな』




『瑞希ちゃんがどんな理由があって援助交際をしているのかは知りません。でも、きっとどこか心に開いた穴を埋めるべくやっているのだと思います』




『心の穴?』




『まあ、心理学者でもないので分からないんですが、瑞希ちゃんはきっと瀧澤さんのように会いに包まれて育ったとは思いません』
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