危なくて…でも甘い放課後
『これは後日談なんだがな。かねてから進学を目指していた学校に受かってその報を母親に伝えようとして家に戻ったら、台所で倒れていたそうだ』




武田警視正の涙は止まるところを知らない




『瑞希の好きなシチューを作っている最中に』




『…』




『瑞希が不憫で不憫でしょうがなかった。葬式に参加しようかと思ったが、親戚に来るなと言われた』




『その後の瑞希はどうなったのですか?』




『親戚の所に預けられた』




『そこで十分な愛情に恵まれたんですか?』




『んなわけないだろ。たらい回しにされたらしい』




『…』




『瑞希も松村、つまり母親の旧姓を名乗っていたからもう彼女には触れないことにした』




『…』




『俺みたいな人間に苦しめられている人を救うのが俺の仕事ということを理解できた時だった。それで、アル中から立ち直るべく必死で働いた』




『そうですか』




『中学を卒業して、そのまま高校に上がった。だけど、中三の時から援助交際に手を染めていたらしい』




『…ほぉ』




もはや適当に相槌を打つことくらいしかできなくなった
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