危なくて…でも甘い放課後
『もう俺に父親ツラをする資格などない…どうせ保護観察処分に付されるなら幸せな家庭に保護観察をしてほしかった』




『それでうちに?』




『ああ。君ならきっと瑞希を更生させることができると信じていた』




『なぜでしょうか』




『何不自由なく育ち、恵まれた環境に瑞希を置くことで今までできなかったことをやらせてあげられると思ったからだ』




『何不自由なくというほどでもなかったですよ』




『まあ、瑞希が育った環境よりかは幾分マシだったと思うぞ』




『そうかもしれませんね』




『とにかく。毎月君に送っていた手当は俺が出したものだ』




『武田警視正が?』




『そうだ。国家から出る補助金なんぞ三回飯食えば終わりだ。君には感謝の意もこめて俺が手当と称して毎月振り込んでいた』




『まさか…』




『信じがたいかもしれないが。結論からいえばそうだ』




『でも手当ては使いましたが、使い切らなかった分は俺の娯楽費に消えちゃいましたけど…』




『いいよ。どうせ俺はすぐ死ぬんだ。遺産を君にあげたいくらい。というか渡ることになっている』
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