危なくて…でも甘い放課後
大久保に言われて作ったんだからねと付けたしていた




武田警視正、いや瑞希の父親の訃報を届けにきた俺にはつらい事実




表情にこそ出していないが、俺の誕生日を祝いたくてこんなことをしているのに




君の父親が死んだ、なんてことを言えるはずがない




胸の底から何かこみ上げてきた




怪訝な顔をしてこっちを見つめる瑞希を直視できない




ソファの上に座っていた瑞希が突っ立ったままの俺の前に来た




『どうしたの?』




もう耐えられない




思わず眼尻に涙がたまった




驚きの顔を見せる瑞希を抱きしめた




『ちょ!何してんのよ!』




俺の胸を押し返す力が増す中、俺の瑞希を抱きしめる力もそれ以上に増した




『離して!』




『よく耐えてきたな…偉かった』
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