拝啓、僕へ【短編】
「え?」
僕はまた目を丸くして
その女性を見つめた。
彼女はクスクスと笑うと
いたずらっぽく言った。
「私はね、今日限りで死ぬのよ。
正確に言えば壊れる、かな?」
そしてしばらく間をあけると
夜空を見上げてゆっくりと言う。
「私が作られたのは
この時代じゃなくて
もう少しあとの事なんだけど
この時代にきちゃったんだぁ。
理由は言えないんだけどね」
僕にはとても信じられないことだったけれど、なぜか不思議な気分だった。