大好きでした…。
「空稀!部活どうするか決めたぁ?」
中学に入学してからすぐに仲良くなった友達の紗耶香。
「う~ん…陸上部か、吹奏楽部にするつもりだよ!紗耶香はやっぱバスケでしょ?」
「うん。今入部届けだしてきたよ!」
紗耶香はねすごくバスケが上手いんだ。
だから当然バスケ部。
あたしはっていうと…
小学校の頃はスポーツクラブでずっと陸上をやってきた。
走るのは大好きだし、遅くだってないんだけど…
はっきり言って限界なの。
昔、右脚の靭帯を切っちゃったんだけど、上手く治らなかったっていうか…
たまに痛むことはあっても、
小学生のレベルの試合や練習では通用してた。
このままやっていれば陸上は続けていけたのかもしれない…
でも、クラブの先生がね、
『中学の陸上はちょっと無理があるかと思うんだ…。
確かに空稀は足も速い。
メンタル面でだって練習には充分ついていける、
でもな、右足はついてきてくれない。
もしかしたら、また切れてしまうかもしれない。』
って、言ってきて…。
怖くなったの。
またあんなに痛い思いをするのもだけど、
自分で自分の限界に気づくのが。
あんなに楽しかった走ることでさえ、
力を加減して慎重に走るようになった。