*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

上がる息を抑えながら、体育館の隅にある重い扉を横に引いて開けた。


窓の無い体育倉庫は不気味に暗い。


「柏原?そこにいるの?返事しなさいよ。」


薄暗い空間に向って問いかけた。


「4時に来いって言ったのは、そっちでしょ?出て来ないなら、帰るよ!」


返事を待っていると、誰かに背中を押され、吸い込まれるように体育倉庫の中へ倒れ込むと、

後ろで扉が閉まる音がした。



な、何・・・?


体勢を整えて、辺りを見渡しても、真っ暗で何も見えない。


何も見えない恐怖から、足を前に出す事は愚か、

指先を動かす事も、呼吸をする事さえ許されない気持ちになる。



その場で立ち尽くしていると、強い光が目の前を覆い、眩しさに目を細めた。


一体、何が起きているの?


恐る恐る目を開いていくと、周りは数十人の女子に囲まれていた。


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