* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「柏原様なら、来ないわよ。」
声のする方に目をやると、柏原の取り巻き女のリーダー、名前は・・・、確か綾香。
いつも以上に憎しみを込めた目で、私を睨んでいる。
その隣では、さっき私を呼びにきた女の子が、楽しそうに声を上げて笑っている。
イマイチ状況が理解出来なくて、何も言えずにいると、綾香は続けた。
「あなた、気に入らないのよ!私達はみんな、柏原様をお慕いしているもの同士、抜け駆けはしない同盟を結んでいるの。
それなのにあなた、みんなの柏原様と馴れ馴れしく接して、それどころか橘様も天秤にかけるような事をして、許せないわ。
それに、2年生の男子にも、ちょっかいかけているらしいじゃないの!」
はい――――!?
これじゃあ私、魔性の女じゃない?
私は、振り回されて迷惑してるほうなんだけど!
なんだか無性に腹が立ってきて、私も負けじと睨みかえした。
「何を言い出すかと思ったら、そんな事?馴れ馴れしくって、あいつが勝手に喧嘩をふっかけてくるんだけど。
それに天秤に掛けるって何?清四郎は私をからかって楽しんでるだけだし、
榊原くんはちょっかい掛けてるんじゃなくて、友達だから仲がいいの!」
話している最中も、段々ムカついてきて、最後の方は自分でも驚くぐらい、低く大きな声だった。